架空の地「エディン」を舞台に繰り広げられる、壮大なエピック・ファンタジーノベル!


 ヒュルルル…………パーン――。
 ドン、ドドド、ドン……。
 ヒュルルルル…………。
 漆黒の空に、七色の光の帯が舞い、小さく、大きく、爆ぜては消える。
 アキティル祭。
 この世界の人々が住む大陸――エディンの新年を祝う、その前夜祭として、エリム王国 の王都スサでは、今日のために用意された幾千の花火が、夜空に打ち上げられていた。
 一年の第一月であるニサンの月に、十二日間に渡り行われるアキティル祭では、エディ ンに住む全ての人々が崇拝する、万物の創造主とされるイシュハラ女神に豊穣の願いと、 感謝の祈りを捧げる。
 特に、エリム王国の王都スサに建てられた、イシュハラ大聖殿で行われる大祭儀には、 毎年、各国の代表者が集まることになっていた。
 どれほどの遺恨があろうとも、このときだけは互いにそのことを忘れる……。それは、 いにしえの伝説に語られる《大災厄》の後、このエディンを統治した七つの王国の時代に 交わされた、神聖な盟約である。
 だが、ひとときこの盟約は破られ、各国がそれぞれに神を祀り、自国の神性と正当性の みを主張しあって、永い戦乱が続いた時代もあった。
 しかし、やがてこの醜い争いによって大陸全土が疲弊し、かつての七つの王国も、エリ ム、ラルス、イサンの三王家を残すのみとなるに至って、各国の王たちも互いにその愚か さを悟り、残る三王家は、あらためてこの古き盟約を厳守することを、全能なるイシュハ ラ女神とエディンに住む全ての人々に誓い、それは現在まで、およそ二百年に渡って守り 続けられてきたのだ。
 そしてその平和は、これからも変わることなく続くものだと、人々に信じられていた。
 ……はずであった。



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